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by pannie
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孤高のメス

何なんやろうなぁ。
これは、考えさせられるテーマやなぁ。

移植をしなければ、死を待つしかない患者とその家族。
不慮の事故で、突然命を落としてしまった若い男の子と、残された母親。
神の手とも言える確かな技術と、その人柄から絶大な信頼を得ている医師。

私は医師にはなれないけれど、この家族の立場ならどちらにだってなりうる。
自分だったらどう考えるか、どんな行動に出るか。
ただ、この命を助けたいとの一心で判断され実行された行為は、どんなに正しいと
思える事でも、法の壁にはかなわない。

医療の世界には、常識や倫理や感情など・・あらゆるものが絡み合って、簡単に判断できない
事が多すぎる。
脳死の捉え方、移植の年齢。
今クールのドラマ「生まれる。」のテーマにもなっている不妊治療に関してもそう。
何が正しいか、誰にも判断できない、線引きが難しい事柄が多すぎる。

第3者の目線から観る限りでは、当事者が全て納得の上、しかもそうなる事を望んだからこその
決断だったから、この映画の医師の行為は正しい事だったと思える。
けれど、全く知らないところで突然ニュースや新聞でこれを知った場合、私はどう感じるだろう。
そこに行き着くまでの、それぞれの葛藤や感情の揺れ動きを全く知らない場合、正しいと思えるのだろうか。
いつまで経っても答えが出ない、置いてきぼりにされたような気持ちになってしまった。

堤真一さん演じる当麻医師は、観る前はもっと傲慢な人だと勝手に想像していたけど、違った。
穏やかで真っ直ぐで優しくて、確かな腕を持つ。
この医師が来た事で、田舎の医療従事者の治療に向かう気持ちが変わっていく。
医療現場に変化をもたらした、ステキな人だった。

医療技術は、より多くの人へと、その心と共に引き継がれていくべきもの。
この映画に描かれている大学病院の体質や、純粋に患者を救いたいと願う医大生や新米医師の気持ちをそぐような体制が本当ならば、その改善を願って訴える人達の思いは、いつ叶えられるのだろうか。


テーマはずしんと重いですが、柔らかく優しい目線で描かれている、とても観やすい人間ドラマです。
いい映画でした。

公式サイト  http://www.kokouno-mes.com/
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by pannie | 2011-06-20 10:42 | 映画 (日本)