とことんマイペースに気ままに、観たものや読んだものの感想を残しておく場所


by pannie
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

はつ恋

1999年 日本
監督・・・篠原哲雄
出演・・・田中麗奈 真田広之 原田美枝子 平田満 仁科克基

一度観た作品を、ひょんな拍子に 「あ、観たい」 と思う時がある。
そして、以前観た時の何倍もの感動を得る作品が、たまにある。

これは、時々お邪魔している方のレビューを読み、無性に観たくなったので、観た。
なぜ観たくなったか・・?
それは、この作品の監督が篠原さんだとわかったから。
篠原監督と言えば、「月とキャベツ」「深呼吸の必要」「天国の本屋 恋火」。
調べて知ったが、「命」「昭和歌謡大全集」も、監督の作品だった。
未見だが、【そのうち観ようリスト】には入れてあるのだ。知らなかった~。
私が観た3作品は、どれも背景が非常に美しく、後を引く味の良さを持った魅力的な監督さんだと思う。
ただ・・・・。
柏原崇史主演の「きみのためにできること」は、爆睡を繰り返し、最後までたどり着けずに返却してしまった過去が・・・。


「はつ恋」の中で、田中麗奈ちゃんは、失恋したてで家に帰るとお母さんはガンで入院・・そんな春休みの始まりに元気を無くしかけてる女子高生・「さやか」を演じている。
さやかは、お母さんが大切にしていたオルゴールの中から、出せないままの1通の手紙を見つけた。
お母さんが、昔・・・お父さんと結婚する前に好きだった人に、出せないまま仕舞っていた手紙。
さやかは、なぜかその手紙の相手を探し出しそうと決意し、【お母さんの初恋探し】の旅が始まったのだ。

さやかが探し当てた男は、かなり落ちぶれている。
落ちぶれたのには、それなりの訳があったのだが、ストーリーがそこにたどり着くまでは「ただの小汚いおっちゃん」にしか見えない。
さやかに見つけられ、さやかの母・・つまり、昔好きだった女性に会う羽目になった男は、最初は渋々だったのだけど、さやかと時を共に過ごすうちに失くしていた光のようなものを探り当てる。
お年頃のさやかは、お父さんとあまり話さない。お父さんを冴えない男だと思っている。
そんな気持ちもあってか、さやかはお母さんの初恋に拘っていたのだけれど、時間が経つにつれ、さやかの中の父への思いもわずかな変化を見せ始める。

日常を切り取った様に進むストーリーそのものに、何か特別大きな盛り上がりがあるわけではない。
けど、人が生身で生きている時間の流れ方とは、案外こんなものなのかも知れない。
人生の一大事、大事件に遭遇することもあるけれど、振り返って見る時が来たら、意外と穏やかに思い返すものなのかも。
さやかの母が、一度だけポツリと呟く言葉がとても印象的だった。

「生きてきたわ」

たとえば去年。私は何をしていたのか?
考えると、大した事はしてない自分に嫌気がさしたりするけれど。
でも、生きてきた。
そう言えるさやかのお母さんの、このたった一言が心に響いた。

全てのことに明確な答えを与えてくれるわけではなく、曖昧でどこかにモヤモヤした思いを残された気持ちになるのに、観終えると じわじわとよく判らないまま押し寄せてくる感動がある。
今の自分にたどり着くまでの、過去の色々な決心を振り返って考えてみたりする。
そんな、不思議な作品だと思う。

日本映画の魅力を十分発揮してくれている・・と言っても良いのではないかな。
「ワンダフルライフ」の時と似た感動だった。

そうそう。日常を切り取った・・とは言っても、さやかの行動はかなり大胆。
小汚い風貌の「お母さんの初恋の人」を見て、怖気づかないのが凄い。
観ていてハラハラするものがあって、二人のシーンは適度にコミカルで微笑ましくもある。
そこも、この作品の魅力の一つ。

手元に置いておきたい作品が、また増えてしまった・・・。
[PR]
by pannie | 2006-02-10 00:56 | 映画 (日本)