ZODIAC ゾディアック
2007年 06月 30日
いや、面白かった。私は好き。こういうの、凄く好き。
淡々と見せられる事実を食い入るように見てました。
観た人達の評価は結構割れているんですが、それは判らないでもないですね。
これから観る人は、『セブンの監督が撮った』ってのは頭から追い払っておいたほうが良いと思います。
『ZODIAC』と『セブン』は、全然タイプが違いますから。
『セブン』の様な衝撃やインパクトを求めると、大きく肩透かしをくらいます。
暗号文の謎解きがメインではないし、繰り返しになりますが凄く衝撃的な映画ではありませんでしたから。
とにかく、事実を見せてくれるだけです。
観客が何をどう受け取るかとか推理するかとか、そういう事を必要とはしていない。
「これが、ゾデイアック事件だ」・・・と、それだけを伝えようとしている映画です。
2時間半超えと長時間ありますが、私は全く飽きる事が無くてエンドロールまで一気って感じでした。
すごく好きな作りの作品です。観終わって暫くエンドロールを眺めながら考え込んでました。
何と言うか、妙な余韻を残して尾を引く作品でした。
見所はやはり犯人を追う4人の男。
敏腕新聞記者、風刺漫画のイラストレーター、二人の刑事。
同じ犯人を追うわけですが、それぞれの着眼点が微妙に違っていて面白い。
どうしてもたどり着かない犯人に対するイライラやもどかしさや力不足に苦しむ男達。
たどり着かないから追いかける・・でもまた届かない・・・。
どこまで行けば、どれだけ月日を重ねればたどり着くのか。
どうにも出来ない男達をあざ笑うかのように、数年の間隔を置いて再び届く犯人からの手紙。
しだいに壊れていく男達・・壊れる前に見切りをつける人もいます。
みんな何も出来ないまま迷宮入りしたゾディアック事件。
最後まで観て残るのは、「犯人は、ヤツだったのか?違うのか?」
捜査に絡む人物達のどの判断が正しいのか、ちょっとした台詞を聞き逃すと丸っきり判らなくなってしまいます。
なので、字幕を追いかけて内容を把握して役者の表情を見逃さないように見てると、
疲れるかのめりこむかのどっちかしか無いわけで・・。
(私はロバートのお陰で全く疲れませんでしたけれどね。)
監督、すごく頑張ってますけど時間の長さに不満が出るのは判る気がしました。
登場する人名と地名が多い事も、ちょっとネックかも。
人名だけで人物は出てこない場合が多いし、年月の流れも速い。
とにかく、こういうことが判ったんだ、この事件はこうだったんだ・・・
それを2時間半そこらで全て伝えようとした為に、監督としてはもっと突っ込んで表現したかった事をさらりと済まさなければならなかった場面が沢山あったのではないかと思われます。
そういうことを踏まえた上で観るといいと思います。
「とくだね!」で、おすぎさん始め他のメンバーが絶賛してましたが、万人受けする作品ではありませんでした。
好きか嫌いか、それのみで評価が分かれるものだと思います。
そして、私はかなり好きなのでした。
これと引き合いによく出されてるのが、韓国映画の『殺人の追憶』ですが、これも又私は若干違うと感じました。
正直・・・『殺人の追憶』の方が良く出来てます。
ただ、これが好きな人はゾディアックも好きなんじゃないかと思います・・多分。
by pannie
| 2007-06-30 00:58
| 映画 ロバート・ダウニー・Jr